災害弱者調査進まず
◇74自治体 毎日新聞調査 条例整備遅れなど
高齢者や障害者ら災害時に自力避難が難しい住民を自治体がリスト化した「避難行動要支援者名簿」について、毎日新聞は道府県庁所在地と政令市、東京23区を対象にアンケートを実施した。要援護者の所在を災害前に把握しておくと迅速な避難につながるとされるが、避難させる消防機関や民生委員らに名簿情報を事前提供できない要援護者が全体の55%にあたる約112万人に上ることが分かった。事前提供には要援護者本人の同意や条例での規定が必要なためで、災害弱者への支援と個人情報の保護をどう両立させるかが問われている。
アンケートは昨年12月、東京都を除く道府県庁所在地の46市とそれ以外の5政令市、東京23区の計74自治体を対象に実施。全自治体から回答があった。
2013年改正の災害対策基本法は災害が起きたら名簿に掲載された要援護者の同意がなくても消防などの「避難支援等関係者」に氏名などを提供できると規定。一方、災害前の提供は個人情報保護の観点から(1)本人が情報提供に同意している(2)市町村条例に特別の定めがある--場合に限っている。
アンケートの回答によると74自治体の要援護者は計約205万人おり、名簿の事前提供を条例で定めていたのは、秋田▽千葉▽横浜▽津▽神戸▽宮崎--の6市と世田谷、渋谷の2区の8自治体(名簿掲載者数計約37万人)。8自治体を除く自治体で事前同意がまだの要援護者は約112万1000人で、全体の55%に上った。
一方、事前同意を全員から得ていたのは、仙台(1万5362人)▽前橋(1273人)▽鳥取(2万8297人)▽北九州(630人)--の4市と練馬区(2万6061人)だった。【石川貴教】
◇避難行動要支援者名簿
2004年の新潟・福島豪雨や台風被害などで、高齢者の避難支援が計画通りにいかなかったため、政府は05年にガイドラインを策定。災害弱者を網羅した「災害時要援護者名簿」を策定するよう市町村に求めた。13年には災害対策基本法を改正し、「避難行動要支援者名簿」に名称を改めて作成を義務付けた。
高齢者や障害者ら災害時に自力避難が難しい住民を自治体がリスト化した「避難行動要支援者名簿」について、毎日新聞は道府県庁所在地と政令市、東京23区を対象にアンケートを実施した。要援護者の所在を災害前に把握しておくと迅速な避難につながるとされるが、避難させる消防機関や民生委員らに名簿情報を事前提供できない要援護者が全体の55%にあたる約112万人に上ることが分かった。事前提供には要援護者本人の同意や条例での規定が必要なためで、災害弱者への支援と個人情報の保護をどう両立させるかが問われている。
アンケートは昨年12月、東京都を除く道府県庁所在地の46市とそれ以外の5政令市、東京23区の計74自治体を対象に実施。全自治体から回答があった。
2013年改正の災害対策基本法は災害が起きたら名簿に掲載された要援護者の同意がなくても消防などの「避難支援等関係者」に氏名などを提供できると規定。一方、災害前の提供は個人情報保護の観点から(1)本人が情報提供に同意している(2)市町村条例に特別の定めがある--場合に限っている。
アンケートの回答によると74自治体の要援護者は計約205万人おり、名簿の事前提供を条例で定めていたのは、秋田▽千葉▽横浜▽津▽神戸▽宮崎--の6市と世田谷、渋谷の2区の8自治体(名簿掲載者数計約37万人)。8自治体を除く自治体で事前同意がまだの要援護者は約112万1000人で、全体の55%に上った。
一方、事前同意を全員から得ていたのは、仙台(1万5362人)▽前橋(1273人)▽鳥取(2万8297人)▽北九州(630人)--の4市と練馬区(2万6061人)だった。【石川貴教】
◇避難行動要支援者名簿
2004年の新潟・福島豪雨や台風被害などで、高齢者の避難支援が計画通りにいかなかったため、政府は05年にガイドラインを策定。災害弱者を網羅した「災害時要援護者名簿」を策定するよう市町村に求めた。13年には災害対策基本法を改正し、「避難行動要支援者名簿」に名称を改めて作成を義務付けた。