鎮魂の祈り
東日本大震災で被災した岩手県陸前高田市中心部の同市消防団高田分団第一部の屯所跡地に震災から5年1カ月の11日、団員や遺族が訪れ花を手向けた。かさ上げ工事が進む中心部で唯一、屯所の面影を残す場。小さなほこらに祈りをささげた。
【写真特集】忘れないあの日 尊い命祈り伝え継ぐ
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コンクリートブロックの上の木のほこらの中に、犠牲になった一人一人の名前を記した木札が並ぶ。半鐘が掛かった鉄塔が当時のまま残る。同市の米沢伸吾さん(39)が手を合わせ、「無事、夜警が終わった」「新しい団員が入ったよ」と近況を報告する。
同部は震災で団員約20人のうち11人が亡くなった。米沢さんは捜索活動で同級生だった団員の遺体を収容した。仲間たちと思いを共有したいと月命日に訪れる。「地域のために活動して殉職した団員のことを知ってほしい」。いつものようにほこらの写真を撮り、フェイスブックに載せた。
同市の菊池純一さん(58)は、避難誘導に当たっていた長男の勇輝さん=当時(25)=を亡くした。自身も震災前、第一部の部長を務めた。「(犠牲者に)自分が勧誘した団員もいる。責任重大だ」。後悔は今も消えない。
ほこらは跡地の隣でプレハブの仮設店舗を構える小谷隆一さん(67)が設けた。同じ部長経験者。「失われた若い命と残された家族の悲しみを忘れないでほしい」と訴えた。
同市では被災地で最多の51人の消防団員が死亡・行方不明になった。壊滅した市中心部の大半はかさ上げ工事で入れなくなった。第一部屯所跡地にも、いずれ新たな道路が整備される。
小谷さんは「次世代が震災を考える上で、何らかの形で証しを残したい」と話す。
被災地では、災害復旧の名の元に土地の嵩上げ工事などで、災害の爪痕が消えつつあります、津波で多くの仲間が亡くなり屯所・詰所・機庫・格納庫が流された跡地も、そのうちに痕跡が無くなるのは忍びないです。格納庫が移築しない分団は良いが、移築される分団は格納庫の跡地に、慰霊碑か何かを残して欲しいですね。