消防器具の盗難
長野県東信地方で、消防ホースの屋外格納箱から金属製の筒先が盗まれる被害が相次いでいる。自治体や消防によると、佐久市や小諸市など5市町で少なくとも約250点の被害が確認されている。ほとんどが高値で取引される真ちゅう製の筒先で、金属リサイクル業者への転売が目的と見られる。消火活動に影響は出ていないが、住民らは「初期消火に影響が出るかもしれない」と不安を募らせる。【原奈摘、島袋太輔】
盗まれているのは消防ホースの先に付ける長さ約70センチの「管そう」と呼ばれる真ちゅう製やアルミ製の金具。水圧を維持するためにホースの先に付けるもので、住宅街などにある屋外格納箱に保管されている。緊急時に備え、無施錠にされているのが盗まれやすい理由だ。
被害が確認されるようになったのは今年に入ってから。6日現在、佐久市で104点▽小諸市で92点▽東御市で32点▽御代田町で17点▽佐久穂町で6点--が盗まれた。他にも真ちゅう製の接合部の付いたホースや、同じく真ちゅうのスタンドパイプ(消火栓とホースをつなぐ部品)が無くなっている。
松本市の金属リサイクル業者によると、真ちゅうの買い取り価格は1キロあたり400~500円台。100円台で取引されているアルミよりも高値だ。リサイクル業者に持ち込むのは消防関係者が主で、一般人が持ち込んだら注意するよう県警から指導されているという。
筒先は取り外しに工具が不要で、持ち運びもしやすく、発覚まで時間がかかる。全国的に同様の被害は相次いでおり、エアコン室外機や銅線、側溝のふたなどの金属製品が換金目的で盗まれている。
佐久市新子田地区では16点の筒先が盗まれた。神津四平区長(67)は「消防器具を使う機会はほとんどないけど、あると安心するお守りみたいなもの。格納箱は鍵もかけられないし、防ぎようがない」と話す。県警は被害届を受理し、窃盗の疑いで捜査を進めている。
◇佐久市、アルミ製導入
相次ぐ消防器具の盗難に、関係者は対策に追われている。屋外格納箱は防犯カメラがない住宅街にあることが多く、自治体は定期的な巡回や点検を検討。器具メーカーは防犯製品を開発している。
消防器具などを製造する岩崎製作所(大阪市)は格納箱用の警報ベルを開発。扉の内側に取り付けて、開けると留め具が外れて音が鳴る仕組みだ。ゼンマイ式のため電源も必要無い。価格は3500円程度。
また、金属の加工技術が発達し、安価で耐久性の優れたアルミ製の筒先が作れるようになった。潮風が吹く沿岸部など塩害がある地域で無ければ、耐久性の問題は無く、今では主流になっているという。佐久市は1960年代に旧式の真ちゅう製の筒先を導入したが、今回の盗難後、購入しているのはアルミ製のものだ。
2015年に同様の被害を多く受けた奈良県葛城市は、市販の警報ブザーを格納箱に取り付けて対応した。費用は100円程度だが、電池式のため自治会などが点検・交換作業を行っている。また、「警報ブザー作動中」というシールも貼って不審者に警告した。同市生活安全課の担当者は「ある程度の効果があり、設置後は盗難数が減少した」という。【島袋太輔】
盗まれているのは消防ホースの先に付ける長さ約70センチの「管そう」と呼ばれる真ちゅう製やアルミ製の金具。水圧を維持するためにホースの先に付けるもので、住宅街などにある屋外格納箱に保管されている。緊急時に備え、無施錠にされているのが盗まれやすい理由だ。
被害が確認されるようになったのは今年に入ってから。6日現在、佐久市で104点▽小諸市で92点▽東御市で32点▽御代田町で17点▽佐久穂町で6点--が盗まれた。他にも真ちゅう製の接合部の付いたホースや、同じく真ちゅうのスタンドパイプ(消火栓とホースをつなぐ部品)が無くなっている。
松本市の金属リサイクル業者によると、真ちゅうの買い取り価格は1キロあたり400~500円台。100円台で取引されているアルミよりも高値だ。リサイクル業者に持ち込むのは消防関係者が主で、一般人が持ち込んだら注意するよう県警から指導されているという。
筒先は取り外しに工具が不要で、持ち運びもしやすく、発覚まで時間がかかる。全国的に同様の被害は相次いでおり、エアコン室外機や銅線、側溝のふたなどの金属製品が換金目的で盗まれている。
佐久市新子田地区では16点の筒先が盗まれた。神津四平区長(67)は「消防器具を使う機会はほとんどないけど、あると安心するお守りみたいなもの。格納箱は鍵もかけられないし、防ぎようがない」と話す。県警は被害届を受理し、窃盗の疑いで捜査を進めている。
◇佐久市、アルミ製導入
相次ぐ消防器具の盗難に、関係者は対策に追われている。屋外格納箱は防犯カメラがない住宅街にあることが多く、自治体は定期的な巡回や点検を検討。器具メーカーは防犯製品を開発している。
消防器具などを製造する岩崎製作所(大阪市)は格納箱用の警報ベルを開発。扉の内側に取り付けて、開けると留め具が外れて音が鳴る仕組みだ。ゼンマイ式のため電源も必要無い。価格は3500円程度。
また、金属の加工技術が発達し、安価で耐久性の優れたアルミ製の筒先が作れるようになった。潮風が吹く沿岸部など塩害がある地域で無ければ、耐久性の問題は無く、今では主流になっているという。佐久市は1960年代に旧式の真ちゅう製の筒先を導入したが、今回の盗難後、購入しているのはアルミ製のものだ。
2015年に同様の被害を多く受けた奈良県葛城市は、市販の警報ブザーを格納箱に取り付けて対応した。費用は100円程度だが、電池式のため自治会などが点検・交換作業を行っている。また、「警報ブザー作動中」というシールも貼って不審者に警告した。同市生活安全課の担当者は「ある程度の効果があり、設置後は盗難数が減少した」という。【島袋太輔】
町内中に響き渡るような警報機の設置が良いでしょう、慌てふためいて逃げるのが犯人です。