消防も多言語対応へ
【松田良孝台湾通信員】西原、与那原、南風原の3町で構成する東部消防組合(神里昌二消防長)は6月から、職員2人を台湾・基隆市消防局に5カ月間派遣し、消防に関する専門的な中国語を習得させる。管轄区域内の中城湾港マリンタウン地区で大型MICE施設(約3万平方メートル)が2020年9月に供用を開始することから、外国人の災害対応や救急搬送の増加を見込み対策を進める。
本年度は、英語と中国語の語学力のある4人の職員を採用。6台ある救急車全てで、英語、中国語、韓国語のうち、いずれかを習得した職員が対応できる体制を目指す。
同組合は6月1日、基隆市内で基隆市消防局と職員交換派遣研修協定書を締結する予定。2日には1人目の職員が研修をスタートし、基隆市消防局の業務に参加しながら専門的な中国語の習得に努める。
派遣が決まった東部消防組合消防本部職員の浦崎直力(なおちか)さん(25)=南風原町=は「緊急時には外国人でも迅速な対応ができるよう、語学習得に力を入れたい」と意気込みを語った。
浦崎さんの研修が終わる10月をめどに2人目の研修をスタートさせ、来年2月まで実施する。18年度以降も研修を継続できないか検討していく。
基隆は台湾北部を代表する港湾都市で人口37万人。沖縄向けのクルーズ船も発着する。同組合では、海に近い基隆の環境が管轄区域内と似ており、津波など海に関連した災害について共通点があるほか、歴史的に沖縄との関わりが深いことなどから研修先に選んだ。
県台北事務所によると、台湾から沖縄を訪れた観光客(クルーズ船利用を除く)のうち、個別手配やフリープランパック旅行の割合は14年度の40・4%から、15年度は71・4%に急増。ガイドが付き添わない旅行客が増えており、消防に関連した業務で中国語の必要性は高いとみている。
城間満総務課長は「管内には、すでにアジア圏の人がかなり来ている。大型MICEで国際会議が開かれるようになると、外国人の災害対応や救急対応の可能性が高まる」として、消防の多言語対応の必要性を強調した。