奄美で水上オートバイ小隊発足
鹿児島県内初 水上バイク小隊が発足
鹿児島県奄美大島の奄美市消防団に1日、特別分団機能別水上オートバイ小隊が発足した。水難事故の際の迅速な初期対応で救命につなげる狙いで、市内の観光業従事者など8人が所属。水上オートバイに特化した隊の結成は県内初という。22日に奄美市笠利町の用安(ようあん)海岸で辞令交付式と救助訓練があり、出席した隊員4人がデモンストレーションを行った。
同市笠利町では1989(平成元)年から2017年7月21日までに40件の水難事故が発生し、うち19件で21人が死亡。今年6、7月には同町用安海岸で相次いで2件の死亡事故があった。
奄美市消防団では奄美大島の世界自然遺産登録に向けた動きや格安航空会社就航に伴う交流人口増加を受け、事故の多い地区での救助体制づくりを推進。島で独自に水難救助に取り組んできた各民間団体の有志を機能別消防団に任命した。
辞令交付式で朝山毅市長は「奄美への追い風が吹く中、海の安心安全がより重要になる。自らの仕事を持ちながらの任務に心から感謝する」とあいさつ。平井雅人消防団長が一人一人に辞令を手渡した。
救助訓練は意識のない水難者を発見したと想定。水上オートバイで駆け付け、岸へ運ぶ一連の流れを確認した。同小隊の長誠和班長(49)は「これまでも各団体で救助訓練を行ってきた。今後もスキルアップを確実にし、消防との連携も高めたい」と話した。
武照幸班長(43)は「地元の情報を得ないまま海に入る観光者が多い。奄美の海は見た目には静かでも、強い流れが発生し危険な場合もある。事故を防ぐために、事前の周知も必要」と注意を促した。